2017年5月8日月曜日

ラバー

最近、星が見えないね
月を見つめて君が言う
どうせ小さな部屋の
出たり入るだけの窓


あと何個、残ってる?
どのくらい生きてける?
ロマンスは箱の中で
動物みたいに黙っている

風船にあこがれていた僕ら
恋は落ちて浮き上がるもの
星なんてもう見えないよ
電気を消しても同じこと

あと何個、残ってる?
どのくらい傍にいる?
リアリティはゴミ箱の中
瞬いていたほんのロマンス



2017年3月30日木曜日

間に合わない僕ら

雨上がりの街を見ている
暮らしの中を抜ける電車
水溜りがまたがれている
校庭が飛び去られている

間に合わない僕らは

雨上がりの街を見ている
暮らしの中を抜ける電車
荷物になってしまった傘
山でさえ息をしてるのに

間に合わない僕らは
少しだけ濡れている



2016年9月10日土曜日

屍鬼

イビツであることが誇りだった
あの小さな子は死にました
まずは色から忘れます
花咲ける森に受ける罰

イビツであることが誇りだった
あの小さな子は死にました
ロウソクの先の周波数
二度と咲かない花の罰

魔法だったらまだよかった
種も仕掛けもありません
魔法だったらまだよかった
めでたしの先を生きている

イビツであることが誇りだった
あの小さな子は死にました
ただれ腐って落ちた花
信じてしまった夢の罰



2016年4月7日木曜日

thirsty

女と別れてオリーブの午後を聴いている
ラッシュに乗って彼女はいまごろ
なんとなく言いそびれた言葉を僕は
コーヒーの中に溶かしてしまう

匂いだけを残して
人はいつも去るけれど
舌先に残るどよめきの
輪郭を愛と呼ばせてね
乾いた喉を潤すよ
君と逢うと、渇くから

「またすぐに逢いたいな」
言いたくて言わないでおく
理由がないと困るから
燃える様には僕らもう
生きてられはしないから
小さな炎を見つめている
同じ場所を見つめている

匂いだけを残して
人はいつも去るけれど
シーツに残るどよめきの
線画を愛と呼ばせてね
乾いた喉を潤すよ
君と逢うと、渇くから


女と別れてオリーブの午後を聴いている
ラッシュに乗って彼女はいまごろ
なんとなく乗りそびれた今日を僕は
コーヒーの中溶かしてしまう

湯気にメガネを曇らせて
君の形をふたたびみたび



2016年2月24日水曜日

受話器の向こうで君は

聴こえるのはいつも
削られた音だけで

押し付けても
押し付けても
あなたを伝えない

受話器の向こうで君は
受話器の向こうで君は

聴こえるのはいつも
言葉になる事だけで
近付けても
近付けても

あなたを伝えない
どんな色をしているの
君の唇は今

受話器の向こうで君は
受話器の向こうで君は


2015年9月29日火曜日

黙っていられる僕らは大人

皆の前でうずくまれるヤツ程
強い人間はいないのよ」
爪を噛みながらあなたは言って
血の滲む指も好きになる
弱い人間? あなたは

これは愛の歌だ
伝えることってそんなに必要?
黙っていられる僕らは大人
いろんな音をふたりで聴こう

少し曲がった君の背中が
少し曲がった君の心が
こんなにも愛しく思うのは
なんて言うとまた勘違いされて
でもそんな風にからかい合って

これは愛の歌だ
変わってくってそんなに必要?
黙っていられる僕らは大人
鳴らさなくてもいい間合い
いろんな音をふたりで聴こう


2015年9月23日水曜日

ノスタルジア

いつだって本当に愛しいモノは
触れもしない氷の中に
わざわざ凍ってしまうまで
見ていたくせに泣くあそび

いつだって本当に欲しいモノは
触れもしない氷の中を
そこにある筈と酔いながら
追いかけ続けているようす

喪わずに失われず
だけどそれは
触れること撫ぜられることも
ノスタルジア

魔法のない世界なのに
刻まれていく皺の呪い
閉じ込めた時間の中の
あなたを思う自分を想う

喪わずに失われず
だけどそれは
触れること撫ぜられることも
ノスタルジア

魔法のない世界なのに
たったひとつ解けない呪文
ノスタルジア

終わりのないレコードが回る